「ちゃんとしてなきゃ」が抜けないあなたへ ― 気を張り続けてしまう心の仕組みと、力を抜く練習
誰も見ていないのに、気が抜けない
家に帰ってきても、気が抜けない。
誰も見ていないのに、部屋が少し散らかっているだけでそわそわしてしまう。
休みの日なのに、パジャマのままダラダラすることに、どこか罪悪感を感じてしまう。
人と会う予定もないのに、身なりを整えていないと落ち着かない。
旅行先でも、予定をきっちり決めていないと不安になってしまう。
仲のいい友達や家族の前でさえ、弱音を見せることができない。
恋人や配偶者といった、もっとも近い人の前でさえ、素の自分を出すことに抵抗を感じる、という方もいらっしゃいます。
疲れていても「大丈夫」と言って、涼しい顔をしてしまう。
そんな自分に、心当たりはありませんか。
そういう方は、きっと真面目で、責任感が強くて、がんばり屋さんです。
でも同時に、心のどこかでずっと気を張っていて、本当はとても疲れているのではないでしょうか。
休みの日にゆっくりしたはずなのに、なぜか疲れが取れた気がしない、という方も多いのではないかと思います。
職場でも、気を抜いているところを見せるのが怖くて、常に机の上も表情も整えているという方もいます。
休むこと自体に「サボっているのではないか」という後ろめたさを感じてしまう方も少なくありません。
たとえば、休日の朝、誰の予定もないのに、早起きして身支度を整えてしまう。
部屋の隅々まで掃除をしてからでないと、心から寛ぐことができない。
友人からの誘いを、本当は少し疲れているのに、「大丈夫」と答えて引き受けてしまう。
夜、布団に入ってからようやく、今日も気を抜けなかったな、とため息をつく。
そんな一日を繰り返している方も、少なくないのではないでしょうか。
そうした日々の積み重ねが、心と体をじわじわと疲れさせていくのです。
なぜ「ちゃんとしていないと」と思ってしまうのか
まず、はっきりお伝えしたいことがあります。
気が抜けないのは、あなたのわがままでも、だらしなさでも、甘えでもありません。
人は誰でも、子どものころの体験をもとに「安心していい場面」と「気を抜いてはいけない場面」を学んでいきます。
たとえば、きちんとしているときだけ褒めてもらえたり、部屋が散らかっていると叱られたり、気を抜いた姿を見せたときに笑われたり責められたりした経験があると、潜在意識は「気を抜く=危険なこと」として覚えてしまいます。
たとえば、テストで良い点を取った時だけ褒めてもらえて、普段の自分にはあまり目を向けてもらえなかった、という方もいるかもしれません。
そうした経験が積み重なると、「ありのままの自分には価値がない」という思い込みにまでつながってしまうことがあります。
きょうだいや同級生と比べられたことが積み重なると、「気を抜いた自分」より「ちゃんとした自分」の方が価値があると、潜在意識が結論づけてしまうこともあります。
あるいは、親が忙しくて、しっかりしている子でいることでようやく振り向いてもらえた、という方もいるでしょう。
潜在意識は、私たちを守るためにとても働き者です。
一度「これは危険」と覚えると、大人になって状況が変わっても、同じように私たちを守ろうとし続けます。
大人になってから、気を抜いた途端に小さな失敗が重なると、「やっぱり気を抜いたらだめなんだ」と、その思い込みがさらに強くなってしまうこともあるのです。
だから、誰も見ていない自分の部屋でも、体が勝手に気を張ってしまうのです。
これは、あなたの性格の問題ではなく、昔、あなたを守るために身についた仕組みなんですよ。
こうした思い込みは、決してあなたを苦しめるために生まれたものではありません。
あの頃のあなたを守るために、潜在意識が懸命に考え出した知恵だったのです。
幼いころの思い込みが、今も体に残っている
ヒプノセラピーの考え方では、こうした思い込みのもとをインナーチャイルドと呼びます。
インナーチャイルドとは、心の中にいる、小さいころのあなた自身のことです。
「ちゃんとしていないと愛されない」「気を抜いたら何か悪いことが起きる」そんなふうに感じていた小さいころの自分が、今もあなたの心の奥で、同じ不安を抱えたままでいることがあります。
頭では「もう誰も怒らないし、大丈夫」とわかっていても、体や気持ちがついてこないことはありませんか。
それは、インナーチャイルドがまだ安心できていないからなのです。
頭で納得することと、心の奥が安心することは、実は別のことなんですね。
会社の休憩時間にすら、気を抜いているところを誰かに見られたくないと感じるのも、同じ仕組みから来ていることがあります。
子どものころ、安心して甘えられる時間が十分になかった方ほど、大人になっても気を抜くことに強い不安を感じやすいと言われています。
もし、小さいころのあなたに今会えるとしたら、どんな言葉をかけてあげたいでしょうか。
「もう気を抜いても大丈夫だよ」そのひと言を、小さいころの自分にかけてあげられたら、少しだけ心が緩むかもしれません。
言葉だけでは、なかなかゆるまない理由
「力を抜いていいんだよ」「大丈夫だよ」と、自分に言い聞かせてみたことがある方も多いと思います。
けれど、言葉だけでは、なかなか気持ちがゆるまなかったのではないでしょうか。
それは当然のことです。
インナーチャイルドの不安は、言葉で説明されたくらいでは、簡単には変わりません。
長い時間をかけて体に染みついた思い込みだからこそ、頭でのアドバイスだけでは届きにくい場所にあるのです。
だから「もっと頑張って前向きに考えよう」としても、うまくいかなかったとしても、それはあなたの努力が足りないからではありません。
自分に言い聞かせる言葉と、心の奥にある小さいころの気持ちとの間には、思っている以上に距離があるのです。
体に染みついた思い込みは、筋肉と同じように、少しずつほぐしていく必要があります。
急に力を抜こうとすると、かえって体がこわばってしまうこともあるのです。
気を抜くことへの不安は、自分の意志の力だけでなんとかしようとするものではなく、安心という土台を少しずつ積み重ねていくことでしかゆるんでいかないものなのです。
焦らなくて大丈夫です。
少しずつ安心を積み重ねていけば、気を抜ける瞬間は、必ず増えていきます。
今日からできる、小さな力の抜き方
とはいえ、今日からできる小さなことも、お伝えしておきたいと思います。
一つ目は、一日のうち五分だけ、「今だけは何もしなくていい時間」を決めてみることです。
タイマーをかけて、五分だけソファに座ってぼーっとする。
それだけでも、体に「気を抜いても大丈夫だった」という経験を、少しずつ覚えさせてあげることができます。
二つ目は、部屋が少し散らかっている日があっても、「今日はここまで」と声に出してみることです。
完璧にできなかった自分を責めるかわりに、ひとまず区切りをつける練習です。
三つ目は、だらっとしている自分を見つけたとき、「今、気を抜けたんだな」と、責めるのではなく気づくだけにしてみることです。
四つ目は、信頼できる人の前で、ほんの少しだけ弱音をこぼしてみることです。
最初は怖いかもしれませんが、小さな一言でも、気を抜いても大丈夫だったという経験になります。
五つ目は、寝る前に、その日気を抜けた瞬間が少しでもあったか、振り返ってみることです。
小さな積み重ねが、少しずつ「気を抜いても大丈夫」という安心を育てていきます。
六つ目は、「気を抜けない自分」も含めて、今の自分を一度そのまま受け止めてみることです。
無理に変えようとしなくても大丈夫です。
七つ目は、できなかった日があっても、「今日は気づけただけで十分」と、自分に声をかけてあげることです。
気づくことができれば、それだけで十分な一歩です。
一人で抱えなくても大丈夫です
とはいえ、小さいころからの思い込みは、自分一人の力だけではなかなかゆるみにくいものです。
気持ちが変わると、行動は自然に変わっていきます。
実際に、ご自身の気持ちを大切にできるようになってから、やりたいことに挑戦できるようになったり、嫌なことを「嫌だ」と言えるようになったりした方の声を、私はたくさんいただいてきました。
気を抜けるようになった方からは、家族との時間が前よりずっと穏やかになった、というお話もいただいています。
自分の気持ちを大切にできるようになったことで、表情まで柔らかくなった、と喜んでくださる方もいます。
もし、あなたが「気が抜けない自分」に疲れてしまっているなら、どうか一人で抱え込まないでください。
まずはプチ体験セッションで、その気の張り方がどこから来ているのか、今の状況とあわせて一緒に整理することができます。
私自身の経験と、その場でのひらめきをヒプノセラピーと融合させた、ミラクルセッションという独自の方法で、あなたの心の奥にあるインナーチャイルドに、そっと寄り添わせていただきます。
ミラクルセッションでは、そうした小さいころの思い込みにそっと触れながら、安心して力を抜ける自分を、一緒に育てていきます。
自分でも気づかずに眠らせている「本当はゆっくりしたい」「頼ってもいい」という気持ちを、一緒に掘り起こしていくこともできます。
心が軽くなれば、自然と笑顔も増えていきます。
そうやって皆さんの表情が明るく変わっていく瞬間に立ち会えることが、私にとって何よりの喜びです。
一人で頑張り続けなくて、大丈夫です。
今のあなたのままで、大丈夫なのです。
少しずつ、気を抜ける時間を増やしていきましょう。