小さな失敗を伝えるのが怖くて言い出せないのはなぜ? ― 胸がどきどきする心の仕組みと、安心して話せるようになるために
あなたは今、小さな失敗に気づいたとき、それを伝えるまでの時間がとても長く感じられていませんか?
頼まれたことを少し間違えてしまった。
約束の時間に遅れそうになっている。
確認し忘れていたことに、あとから気づいた。
どれも、冷静に見れば「ひと言伝えれば済むこと」かもしれません。
それなのに、頭の中では
「なんて言えばいいんだろう」
「きっと呆れられる」
「もっと早く言えばよかった」
と、同じ言葉がぐるぐる回ってしまう。
胸がどきどきして、手のひらに汗がにじんで、
気づけば言い出せないまま時間だけが過ぎていく。
そんな経験は、ありませんか?
もしあるなら、まずお伝えしたいことがあります。
それは、あなたの性格が弱いからでも、仕事や人づきあいが下手だからでもありません。
言い出せないのは、弱さではありません
小さな失敗を伝えるのが怖いと、人はつい自分を責めてしまいます。
「こんなことで怖がるなんて、おかしいのかな」
「みんなは普通に言えているのに」
そんなふうに思ってしまうかもしれません。
でも、実はこの怖さは、とても自然なものなんですよ。
心は、危ないと感じた場面で、体を守ろうとして反応します。
どきどきするのも、言葉が出てこなくなるのも、心が一生懸命あなたを守ろうとしている証拠です。
ただ、その「危ない」という判断が、今の状況に合っていないことがあるんです。
たとえば、相手が穏やかな人で、失敗を伝えても責められる可能性がほとんどないとしても、心は「危ない」と感じてしまう。
そのズレが、「怖いのに理由がわからない」という苦しさを生んでいるのかもしれません。
では、なぜそんなズレが起きるのでしょうか。
心の奥に残っている「失敗=怖いこと」
ここからは、潜在意識の視点でお話しします。
潜在意識とは、自分では意識していない、心の深いところのことです。
ここには、幼い頃に感じたことや、そのときに自分なりに出した結論が、そのまましまわれています。
小さな子どもにとって、身近な大人の反応は世界のすべてです。
何かをこぼしたとき。
テストの点が悪かったとき。
約束を守れなかったとき。
そのときに、強い口調で叱られたり、ため息をつかれたり、がっかりした顔を向けられたりすると、子どもの心は大きく揺れます。
大人から見れば、ほんの小さな出来事かもしれません。
けれど、幼い心にとっては「大好きな人に嫌われてしまうかもしれない」という、大きな不安につながることがあるんです。
そして子どもは、こんなふうに思い込みます。
「失敗すると、認めてもらえなくなる」
「失敗は、隠さないといけないものなんだ」
これが、心の奥に残る思い込みです。
もちろん、周りの大人に悪気があったわけではありません。
その人たちも、精一杯だったのだと思います。
大切なのは、誰かのせいにすることではなく、「そういう思い込みが、今も静かに働いているのかもしれない」と気づくことです。
大人になった今でも、失敗を伝える場面になると、心はあの頃の小さなあなたに戻ってしまいます。
頭では「たいしたことじゃない」とわかっていても、心の奥の小さなあなたが、
「言ったら嫌われる。怖い」
と震えている。
これが、胸がどきどきする正体のひとつなんですよ。
言い出せない間に、心の中で起きていること
失敗を伝えられずにいる間、心の中ではどんなことが起きているのでしょうか。
たとえば、こんな流れかもしれません。
失敗に気づく。
↓
「どうしよう」と焦る。
↓
相手の反応を、悪いほうへ悪いほうへ想像する。
↓
怖くなって、言い出すのを先延ばしにする。
↓
時間がたつほど、言いにくくなる。
↓
「どうしてすぐに言えなかったんだろう」と、自分を責める。
こうして、失敗そのものより、「言えなかった自分」を責める気持ちのほうが大きくなっていくことがあります。
そして、また次の失敗のときも同じ流れをたどってしまう。
これは、あなたの意志が弱いからではありません。
心が「怖いことから離れて、自分を守ろう」としているだけなんです。
ただ、守ろうとするほど、かえって苦しさが増してしまう。
そこに、この悩みのつらさがあるように思います。
「大丈夫」と唱えるだけでは変わりにくい理由
「失敗しても大丈夫」
「たいしたことじゃない」
そうやって、自分に言い聞かせたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
言葉を唱えること自体は、悪いことではありません。
気持ちが少し落ち着く日もあると思います。
でも、なかなか変わらないと感じるなら、それには理由があるんです。
頭で考えて唱えている言葉は、意識の表面にあるものです。
一方、「失敗=怖い」という思い込みは、もっと深い、潜在意識のところにあります。
表面で「大丈夫」と唱えても、心の奥の小さなあなたが、
「でも、本当は怖いよ」
と言っていたら、その声は消えません。
むしろ、「怖がってはいけない」と思うほど、怖さを押し込めることになって、苦しくなってしまう方もいます。
インナーチャイルドという言葉があります。
心の中にいる、幼い頃の自分のことです。
この子が怖い思いをしたまま、わかってもらえずにいると、いくら前向きな言葉を重ねても、心の底からは安心できません。
だからこそ、「頑張って前向きに考えましょう」では、なかなか変わらないんですね。
必要なのは、無理に前向きになることではなく、怖かった気持ちを「怖かったよね」と受け止めてあげることです。
今日からできる、小さな一歩
ここで、ご自分でできる小さなことをひとつご紹介しますね。
次に、失敗を伝える場面で胸がどきどきしたら、次の3つを試してみてください。
1つ目。
心の中で、「怖いよね」とつぶやく。
「怖がっちゃだめ」ではなく、まず怖さを認めてあげます。
2つ目。
片手を胸に当てて、ゆっくり息をはく。
吸うことより、はくことを意識するだけで、体の力がふっと抜けやすくなります。
3つ目。
伝える言葉を、ひと言だけに絞る。
「すみません、1つ確認し忘れていました」
このくらいで十分です。
上手に説明しようとしなくて大丈夫なんです。
うまくできなくても、かまいません。
怖いと感じている自分に気づいて、声をかけてあげられた。
それだけで、心の中の小さなあなたは、少しだけ安心します。
そしてもうひとつ、夜に1分だけ、今日の自分に「おつかれさま」と言ってあげてください。
失敗したかどうかに関わらず、今日を過ごしてきたことそのものが、頑張りなんですよ。
気持ちが変わると、行動が変わります
私がこの仕事をしていて、いちばん嬉しいのは、気持ちが変わると行動が変わっていく姿を見られることです。
ミラクルセッションを受けてくださった方から、こんなお声をいただいています。
「今までは自分をほめたり、体を休めたりということができていませんでした。
セッションのあとは自分を大切にすることができるようになって、自分自身に寄り添った行動ができるようになりました」
また、別の方からは、こんなお声も届いています。
「自分責めがなくなると、こんなに毎日が楽しいのですね」
失敗を怖がる気持ちがゆるむと、言いたいことが少しずつ言えるようになります。
やりたいことにも、手が伸びるようになります。
そして、「今日も楽しかった」と一日を終えられる日が増えていく。
私は、そんな毎日をあなたにも過ごしてほしいと思っています。